ブリッジレポート
(3034:東証1部) クオール 企業HP
中村 勝 社長
中村 勝 社長

【ブリッジレポート vol.28】2016年3月期第1四半期業績レポート
取材概要「16/3期は順調な立ち上がりとなった。調剤事業は既存店を中心に単価の上昇を伴って処方箋応需枚数が伸びており、新規出店やM&Aで店舗ネット・・・」続きは本文をご覧ください。
2015年8月11日掲載
企業基本情報
企業名
クオール株式会社
社長
中村 勝
所在地
東京都港区虎ノ門4-3-1 城山トラストタワー37階
事業内容
調剤薬局チェーン大手。首都圏中心に全国に店舗展開。
決算期
3月末日
業種
小売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2015年3月 114,363 4,243 4,262 2,155
2014年3月 100,966 2,105 2,208 777
2013年3月 76,783 2,812 2,829 1,349
2012年3月 66,201 3,308 3,238 1,560
2011年3月 60,915 2,804 2,807 1,137
2010年3月 56,305 2,031 2,032 828
2009年3月 49,010 1,526 1,506 653
2008年3月 38,002 1,314 1,298 547
2007年3月 24,827 937 875 403
2006年3月 21,701 779 763 333
2005年3月 20,193 611 580 74
2004年3月 18,500 28 10 -134
2003年3月 11,869 253 413 -33
2002年3月 8,107 5 153 68
株式情報(8/3現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
2,216円 34,388,200株 76,204百万円 11.9% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
20.00円 0.9% 72.74円 30.5倍 557.42円 4.0倍
※株価は8/3終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
クオールの2016年3月期第1四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
首都圏を中心に全国展開を進める業界3位の調剤薬局チェーン。従来、調剤薬局と言えば、大病院の近くに出店し顧客獲得を競う門前薬局が主流だったが、同社は医療機関とのマンツーマン体制による出店戦略を推進し独自の勝ちパターンを確立。近年では、異業種との提携等による人々が集まる導線上への出店に力を入れており、(株)ローソンとの資本業務提携による「コンビニエンスストア(以下、CVS:Convenience Store)併設型調剤薬局」(調剤薬局とCVSの融合)の街ナカ展開、家電量販店大手の(株)ビックカメラとの連携による駅チカ展開、更にはJR西日本グループとの業務提携による「駅クオール薬局」のといった駅ナカ展開が進行中である。また、子会社を通してCSO事業、治験事業等も手掛けている。
 
企業理念    わたしたちは、すべての人の、クオリティ オブ ライフに向きあいます。いつでも、どこでも、あなたに。
 
【沿革】
1992年10月   中村 勝氏(現社長)が50歳の時に医薬品卸の営業本部長から転身して創業 兜町に1号店を出店
2006年 4月   大阪証券取引所「ヘラクレス」(現JASDAQ)上場
2008年12月   ローソンと業務提携
2010年 6月   CVS併設店舗1号店(東京都港区城山トラストタワー)
2011年12月   東証2部上場
2012年 8月   JR西日本デイリーサービスネットと業務提携
2012年 8月   ローソンと資本提携
2012年10月   アポプラスステーションを子会社化
2012年12月   東証1部上場
2013年 4月   会社分割(新設分割)により関連事業を統括する中間持株会社クオールSDホールディングスを設立
2014年 7月   ココカラファインと業務提携
 
【事業概要と調剤事業の特徴】
事業セグメントは、調剤事業とBPO受託事業(関連事業から名称変更)に分かれ、15/3期は調剤事業の売上が全体の90.3%を占めた。調剤事業はクオール(株)等が手掛ける調剤薬局の経営が中心だが、CVS併設型調剤薬局(「LAWSON」の法人オーナーとして37店舗を展開)における物販の収益も含まれている。第1四半期末の店舗数はフランチャイズ店2店舗を含む540店舗。
一方、中間持株会社クオールSDホールディングス(株)が統括するBPO受託事業は、アポプラスステーション(株)によるCSO事業や薬剤師の派遣事業、クオールRD(株)の治験支援事業、メディカルクオール(株)の出版関連事業からなる。MRの派遣は製薬会社のコスト削減(MRの削減)に対応したもので、薬剤師の派遣は薬剤師の就学期間の長期化(薬学部が4年制から6年制へ)や薬剤師国家試験の合格率低下による薬剤師不足に対応したもの。
 
調剤事業の特徴
クオール薬局
「処方箋は病院の近くで処理するもの」と言う固定観念が強いため、処方箋を受け取った患者が自ら薬局を選ぶ事は稀で、病院等の近くの薬局(門前薬局)を利用するケースが一般的であった。このため、調剤薬局は大病院など大手医療機関の門前に店舗を構え、好立地を活かした店舗運営を志向してきた。これに対して、同社は多くの医療機関と1対1の密接な関係(処方元医療機関の医師との強固な信頼関係)を構築するマンツーマン薬局を志向すると共に、1店舗で複数の医療機関が発行した処方箋を応需する面対応の店舗展開を進めてきた。
 
クオール薬局は既存店の新患率が約8%、売上高は2ケタ成長が続いている。
同社独自の認定薬剤師制度により、がん、認知症、在宅、糖尿病等、専門知識を持った薬剤師を育成する事で処方提案レベルを高めている他、過誤防止、全自動調剤、スピーチプライバシーシステム、エコ、災害対策、在宅、テレビ電話等、機能面での充実にも力を入れている。
加えて、異業種とのコラボレーションやクオールカード、処方せん送信アプリ、クオール薬局アプリと言ったIT化により、近隣の大病院に頼らない面対応の取り組みも継続的に進めている。
 
面対応強化の一環として異業種と連携  −広範囲な市場をカバー−
2010年以降は異業種と連携により多様なチャンネル展開にも力を入れており、ローソンとの提携による調剤薬局併設のCVS(コンビニ)運営(2014年4月以降は、調剤、コンビニ、ドラッグストアのヘルスケア融合型にシフト)、駅前の好立地に店舗展開し、高い集客力を誇るビックカメラ店舗でのインストア展開、JR西日本グループとの提携による駅構内での店舗展開を進めている。現在、患者の20%超は能動的に調剤薬局を選択していると言われており、こうした患者の取り込みを図るための差別化戦略であり、患者との接点を点から面に広げる事で広く処方箋を獲得しようとするもの。将来的には宅配サービスも視野に入れており、薬だけでなく、介護用品や弁当等を届ける体制を整備したい考え。
 
 
流通改革
2014年3月、調剤薬局・ドラッグストア16社と共に、医薬品卸会社へ医薬品の競争入札を行う医薬品調達機構を立ち上げた。医薬品調達機構は、医薬品を5つのカテゴリーに分け、このうち新薬創出加算品、特許品、及び長期収載品の3カテゴリーについて、カテゴリー別に事前に各社へ購入予定価格を通知、その価格に対して一般競争入札を行う。残りの後発医薬品、エッセンシャルドラッグ(その国の保険医療に最低限必要な医薬品)は従来通り、各々が仕入先と交渉する。これまで同社はすべての医薬品を一括購入していたため、値引き率には限界があったが、15/3期より、先述の入札制度により、適正かつ公正な価格での交渉・妥結が可能となり、利益率の改善につながっている。

これまで同社の通期業績は、第4四半期(1-3月)に実施される医薬品の仕入価格交渉の結果いかんで大きく変動する事があった。特に13/3期、14/3期は影響が大きかったが、仕入価格(仕入原価)を確定した上で仕入れを行うと言う本来の商習慣への回帰を目指す医薬品入札制度を導入した事で15/3期は大きな波乱なく着地できた。

尚、一般的には調剤薬局が処方箋を1枚処理した場合、処方箋単価が調剤薬局の収入となり、処方箋単価の約25%が技術料で残り約75%が薬剤料として売上計上される。技術料は100%粗利となるが、薬剤料は医薬品の仕入原価を差し引いた残り(薬価差益)が粗利となる(値引き率を大きくする事によって超過収益を得る事ができる)。
 
調剤売上高=処方箋単価×処方箋枚数
調剤利益=技術料+(薬剤料×値引き率)
 
 
 
*ROE=売上高当期純利益率×総資産回転率×レバレッジ、ROA=売上高経常利益率×総資産回転率
*上記は決算短信及び有価証券報告書のデータを基に算出しているが、算出に際して必要となる総資産及び自己資本は期中平残(前期末残高と当期末残高の平均)を用いている(決算短信及び有価証券報告書に記載されている自己資本比率は期末残高で算出されているため、その逆数と上記のレバレッジは必ずしも一致しない)。
 
調剤事業、関連事業共に利益が大幅に増加した事で売上高当期純利益率が本来の姿に戻り、前期は5.17%にとどまったROEが11.91%に回復した。16/3期はさらなる売上高当期純利益の改善が見込まれている。
 
 
調剤薬局は全国に約5万7千件あり、CVSとほぼ同数。同社が創業した1992年には14%程度だった医薬分業比率は、現在、約70%にまで高まっている。院外処方箋の増加と高齢化で調剤市場は年率3%〜8%の成長が続いており、現在の市場は約7兆円。
しかし、業界トップのアインファーマシーズでもシェアは約2.5%に過ぎず(クオールが約1.5%)、大手チェーン薬局10社(売上高約7,000億円)でも約10%にとどまり(CVSはセブンイレブン、ローソン、ファミリーマートの3社で約75%)、マーケットリーダーが存在しない。
しかし、医療費の抑制に取り組む国策の下、薬価・調剤報酬の改定や消費税率の引き上げ(調剤薬局は消費税を患者に転嫁できない)で中小薬局の経営は圧迫され、M&Aが活発化している。このため、今後、大手チェーン薬局による寡占が進んでいくとみられている(分業率が100%に達した場合の市場規模は推定で約10兆円超。寡占化が進み大手チェーン薬局のシェアが過半を超えるとみられている)。
 
調剤市場変化のトリガー及び業界イベントとインパクト
10%への消費税率の引き上げが予定されているため、消費税が転嫁できない事による調剤の収益性の悪化を嫌った医療機関が医薬分業を進めるとみられており、分業比率の上昇も見込まれている。これらを含めて、同社は「調剤市場が変化するトリガー」として5項目を挙げると共に、業界イベントとインパクトを説明している。
 
調剤市場変化のトリガー
・消費税増税患者から徴収不可、院外処方箋増加(分業率アップ)
・ジェネリック医薬品拡大医療費削減(売上減少)
・国の財政問題厳しい調剤報酬・薬価改定(M&Aの増加)
・薬剤師不足出店抑制(成長鈍化・M&Aの増加)
・IT化促進処方箋電子化・電子版お薬手帳等
 
 
2016年、2018年には薬価改定があり、2017年には消費税率の引き上げ(8%→10%)が予定されている。消費税を転嫁できない調剤薬局にとっては3年連続の逆風となるが、2014年の消費税率引き上げの際は、分業率が前年の67.0%から68.7%へ1.7ポイント上昇した。このため、2017年は同社にとってチャンスでもある。
 
 
【派遣事業(MR・薬剤師)の事業環境】
MR認定センター「MR白書」によると、2014年の国内のMRは64,657人。このうち派遣MR(CMR)は4,139人、全体の約6.4%(2012年5.0%、2013年6.0%)に過ぎないが、2014年のCMR数は前年比4.6%増となり、拡大基調が続いている。

製薬会社へのアウトソーシングの拡大やジェネリック医薬品(後発医薬品)の市場拡大による販売単価の低下に加え、多くのMRを必要としないアンメットメディカルニーズ(需要はあるが有効な治療法がない)領域の強化等で、製薬会社はMRのコストを固定費から変動費へとシフトさせつつある。また、市場が拡大しているジェネリック医薬品を専門とする製薬会社でも、派遣MRの利用が増えている。大型新薬の特許切れがあると、多くのMRが必要になるが、大型新薬の特許切れが毎年継続的に有る訳ではないので必要な人員に波がある事に加え、ジェネリック医薬品は、新薬とは異なり、医薬品の説明よりも営業が中心となるからだ。製薬会社はMRを派遣に切り替える事で人件費を1/3〜1/2に抑える事ができるため、将来的には、2万人超がCMRに置き換えられると言う予想もある。同社にとっては大きなビジネスチャンスであり、引き続き積極的に経営資源を投入していく考え。

尚、現在、医療用薬品市場の53〜54%を調剤が占めていると言われており、製薬会社の販売上、調剤薬局は無視できない存在になりつつある。このため、製薬会社にとって、調剤薬局の大手であるクオールグループのMR派遣サービスを利用する事は、固定費の変動化やコストダウン効果に加え、販売面での関係強化と言うメリットがある。

薬剤師の派遣も根強いニーズがある。薬剤師の就学期間の長期化(薬学部が4年制から6年制へ)や薬剤師国家試験の合格率低下により薬剤師不足は深刻化している。また、国内の薬剤師は約280,000人で、このうち薬局勤務は約153,000人だが、大都市圏に集中しており、地域格差の問題も大きい。
 
 
 
成長戦略
 
3年前からMRや薬剤師の派遣、医療用医薬品や特定保健用食品等の治験といった新規事業の育成に取り組んでいる。新規事業は調剤事業の営業利益率(2年に一度の薬価改定等、国が管理しているマーケットのため5%程度)を上回る事を条件としているため、育成中の事業はいずれも利益率が高い。現在、新規事業で最も期待されているのが、アポプラスステーション(株)が手掛ける派遣事業で、15〜20%の営業利益率が期待できる。派遣事業を中心にしたBPO受託事業で利益を下支えしつつ、調剤事業でトップラインを伸ばしていく収益モデルが中期的なイメージだ。

当面の数値目標として、売上高3,000億円(調剤事業2,400億円、BPO受託事業600億円)、営業利益240億円(共に120億円)を掲げている。調剤事業では、1,000店舗体制の構築を念頭にクオール薬局の新規出店に加え、M&Aや異業種との連携を積極的に進めていく。一方、BPO受託事業の中核を担うのはCSO事業を中心とした派遣事業である。
 
【進捗状況】
(1)調剤事業
LAWSON(街ナカ市場)、ビックカメラ(駅チカ市場)、JR西日本G(駅ナカ市場)の新業態は、認知度向上により、処方箋が堅調な伸びを示している。

街ナカ市場の攻略に向けた戦略業態であるLAWSON店舗(15/3期末37店舗)はスクラップ&ビルドによりヘルスケアCVSへのシフトを進めており(15/3期は出店3店舗、閉店3店舗)、15/3期の処方箋は2ケタ増となった(「処方せんアプリ」経由の患者が全体の10%を占めている)。また、ドラッグストア機能を付加した事で物販も好調に推移しており、平均日販は通常のLAWSON店舗の約53万円を大きく上回る70〜80万円台(業界最大手のセブンイレブンの平均日販が65〜66万円)。

駅チカ市場攻略の役割を担うビックカメラへの出店(4店舗)は、1日数万人の集客力を背景に調剤報酬の2ケタ増が続いている。特に新宿東口(ビックロ)店は人通りの多い地下に移転した事で、受付枚数・調剤報酬が大幅に増加したビックカメラ有楽町店と共に1億円規模の年商を誇る)。また、名古屋店は、訪日外国人のまとめ買いもあり、15/3期OTC売上が前年同期比増減率40.6%増と大きく伸びた。

駅ナカ市場に展開するJR西日本グループ(以下、JR西日本G)との提携店舗(3店舗)も、コンビニの駅ナカ展開とは住み分けができている。調剤、大衆薬、サプリメントの品揃えによる利便性の高さと店舗ネットワークの拡大余地の大きさが特徴で、認知度向上により、広範囲から処方箋を応需する結果となり、調剤報酬の2ケタ増が続いている。OTCを服薬する花粉症患者も増えており、今春は花粉症関連のOTCが好調だった。1号店である大阪店は、15/3期調剤報酬が前年同期比増減率83.7%増、受付枚数が同87.6%増、OTCが同21.6%増。
 
IT化の推進
処方箋と一緒に提示する事で患者の過去の処方情報等が照会できるクオールカード(情報は東京・大阪のセンターに蓄積され、カードは照会機能のみ)が会員の囲い込みに一役買っている他(会員数は2015年6月末現在1,322千人)、スマートフォン用の「処方せん送信アプリ」も好評だ。「処方せん送信アプリ」とは、患者が処方箋をスマートフォンのカメラで撮影し、同社の薬局にメール送信できるアプリケーションで、会社帰りや買物の途中等、都合のよい時間に薬を受け取る事が可能。門前から面への流れを後押しする効果やクオールカードとの相乗効果も期待されている。「処方せん送信アプリ」への対応は、2013年10月のビックカメラ内のクオール薬局4店舗を皮切りに、同年11月にはナチュラルローソンクオール薬局4店舗、駅クオール薬局JR大阪店等へ広がり、その後、クオール薬局全店、CVS併設型調剤薬局にも拡大している。また、2015年5月からは処方箋送信機能に加え、電子お薬手帳や自己健康管理チェックなどを始めとするさまざま機能を搭載した「クオール薬局アプリ」の配布も開始されている。
 
(2)BPO受託事業
中間持株会社「クオールSDホールディングス(株)」の下で進めているBPO受託事業では、アポプラスステーション(株)によるMR派遣(CSO事業)及び薬剤師・看護師派遣(MJ事業)、クオールRD(株)による治験支援事業に力を入れている。

アポプラスステーション(株)は2012年10月の買収時は赤字だったが、社内改革が進み14/3期に黒字転換。15/3期は7億円の営業利益を計上し、16/3期は10億円を突破する見込み。現在、CMRの稼働がフル稼働に近い状態にあり、2017年のCMR1,000名体制を目指して積極的な採用を続けている。また、海外関連事業を並行して進めていく考えで、グローバル営業統括部を創設した。ジェネリック医薬品メーカーも含め、国内中小メーカーのアジアを中心にした海外進出のサポートや、外資系新規参入メーカーの日本での営業機能の受託等を手掛けていく考え。この他、医療機関とかかわりのある(医療上必要な)新たな事業を模索していく。
 
 
2016年3月期第1四半期決算
 
※数値には(株)インベストメントブリッジが参考値として算出した数値が含まれており、実際の数値と誤差が生じている場合があります(以下同じ)。
※16/3期第1四半期より、人件費等の原価計算が精緻化された事に伴い、売上高と発生費用の関連を見直し、一部の売上原価と販管費について区分を変更した。これに伴い、従来、販管費として計上していたCSO及び派遣事業関連費用を売上原価に計上する事とし、前15/3期第1四半期の四半期連結損益計算書において、販管費に計上していた3億03百万円を売上原価に組替えて計上している。
 
前年同期比6.0%の増収、同120.1%の営業増益
売上高は前年同期比6.0%増の289億18百万円。医療・医薬情報資材制作関連事業の受注減少や事業上の重要性が低くなった連結子会社1社を非連結子会社化した事でBPO受託事業の売上が22億74百万円と同12.6%減少したものの、調剤事業が266億44百万円と同8.0%増加。同事業では、単価の上昇を伴って処方箋応需枚数が伸びた既存店がけん引役となる中、新店やM&A等も寄与した。

利益面では、入札制度による安定した収益の確保と積極的なジェネリック医薬品への変更に加え、処方箋単価の上昇や収益性の高いCSO事業の好調もあり、原価率が87.9%と2.3ポイント改善。薬剤師を中心にした人員増による販管費の増加を吸収して営業利益が12億74百万円と同120.1%増加した。税負担率の低下もあり、四半期純利益は10億16百万円と同4.5倍に拡大した。

第1四半期末の従業員数は、薬剤師1,590名(前年同期末:1,548名)を含む3,569名(同3,455名)及び臨時雇用者1,664名(同1,691名)。前期末は、薬剤師1,490名を含む3,455名及び臨時雇用者1,833名だった。
 
 
調剤事業
売上高266億44百万円(前年同期比8.0%増)、営業利益12億23百万円(同64.0%増)。店舗数の増加もあり、既存店の売上が同17.7%増加した他、M&A等による売上も同7.3%増加。一方、収益重視の新規出店を進めた事で新店の売上は同49.0%減少した。
処方箋単価は、既存店、新店、M&A等の全てで増加した。2015年6月末時点のクオールカード会員数は1,322千人。

第1四半期末の店舗数は540店舗(直営538、フランチャイズ2)と前年同期末に比べて10店増加(前年同期は直営528、FC2)。新規出店6店舗(前年同期7)、子会社化による取得10店舗(同11)の計16店舗を出店する一方、売店12店舗を中心に14店舗(同1)を閉店した。
出退店の内訳は、クオールグル−プ店舗が出店15店舗、退店1店舗、ローソンクオール薬局が出店1店舗、退店1店舗、売店が出店0店舗、退店12店舗。
 
BPO受託事業
売上高22億74百万円(前年同期比12.6%減)、営業利益2億90百万円(同279.6%増)。医療・医薬情報資材制作関連事業における受注の減少と事業上の重要性が低くなった連結子会社1社を非連結子会社とした事で売上が減少、一方で一部費用が第3四半期以降へずれ込んだ事もあり、営業利益が3倍弱に拡大した。
 
 
のれん(194億77百万円→180億82百万円)及び資本剰余金(108億80百万円→93億06百万円)の減少で第1四半期末の総資産は586億84百万円と前期末に比べて8億88百万円減少した。自己資本比率は31.0%(前期末32.1%)。
 
 
2016年3月期業績予想
 
 
通期業績予想に変更はなく、前期比10.0%の増収、同18.1%の営業増益予想
第1四半期決算を踏まえて第2四半期の業績予想を上方修正したものの、通期業績予想は据え置いた。
調剤事業はクオールグループ47店舗、LAWSON店舗(ローソンクオール薬局)8店舗の出店を計画しており、期末店舗数が593店舗と前期末に比べて55店舗増加する見込み。LAWSON店舗については、スクラップ&ビルドによりヘルスケアCVS(ローソンクオール薬局)へのシフトを進め、期末40店舗体制を目指している。一方、BPO受託事業は、MR派遣市場の拡大(2ケタ成長が見込まれている)を背景にCSO事業を手掛けるアポプラスステーション(株)の業績が拡大する見込み。2017年のCMR1,000名体制を目指して積極的な採用を継続する。

設備投資は16億27百万円(前期17億52百万円)を計画しており、減価償却費16億99百万円(同16億11百万円)、のれん償却費17億60百万円(同14億97百万円)を織り込んだ。

配当は、1株当たり上期末10円、期末10円の年20円を予定している(配当性向27.5%)。
 
 
 
今後の注目点
16/3期は順調な立ち上がりとなった。調剤事業は既存店を中心に単価の上昇を伴って処方箋応需枚数が伸びており、新規出店やM&Aで店舗ネットワークの拡大・拡充が進む一方で、収益力の劣る売店を中心にスクラップが進む等、店舗ポートフォリオの質向上でも成果をあげている。BPO受託事業は一部事業の苦戦等で売上が減少したものの、経費が下期に期ズレしたため、利益の大幅な増加となった。また、調剤事業の収益性では、入札制度が定着してきた事とジェネリック医薬品への変更が順調である事が確認できた。上期業績予想を上方修正したにもかかわらず、通期業績予想が据え置かれたが、下期にCSO事業の拡大に向け積極的な人材採用を計画している事もあり、現状では通期の着地点を正確に予想する事が難しい、という事ではないだろうか。
 
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