ブリッジレポート

(4289)ビジネストラスト/ 吉木 伸彦社長

新宿御苑駅から徒歩数分。連結会計のためのパッケージソフトの開発などを行っているビジネストラストを訪問しました。
吉木社長にお話を伺いました。


吉木 伸彦社長
 

創業の経緯

1961年生まれの吉木社長は東京大学法学部在学中から、起業に強い関心を持っていました。まずは社会の仕組みを勉強しようということで農林中央金庫に就職し、融資を担当する中で多くの成長企業に接する機会を得ました。

その過程で、成長企業には事業分野の「特殊性」が成功のための重要なキーワードであることに着目。自身の場合の特殊性を「会計」に絞ることにしました。
そこで農中を退職して公認会計士試験の勉強を開始。合格後は太田昭和監査法人に入りました。
その在職中に、日本企業における国際会計基準採用の話題が世の中に出始めたこともあり、「企業会計の中でも連結など特に複雑な部分について、ユーザーである企業が簡単に処理できるソフトを開発する」ことでの起業を決意し、1994年にスタートしました。
まず社長自らソフト作りの勉強をしながら連結決算のためのソフト「連結大王」を開発しました。ユーザーとしては当然大企業が想定され、大企業が相手にしてくれるかという懸念もありましたが、「世の中にないもの」&「良いもの」なら買ってくれるだろうと考え営業を進めていったところ実際に買ってくれたそうで、これが「大企業も利用している」という信用力となってその後の販売拡大に大きく寄与していきました。

その後、1998年にはそれまでの「ソフトの売り切り」から、会計士によるコンサルティング、導入サポート、保守など「継続して売上を上げる仕組み作り」を始めたこと、2000年3月の会計ビッグバン(連結決算の本格化)等を契機に売上は拡大し、2001年8月にナスダック・ジャパン市場に上場しました。

 

事業内容

企業の会計、決算に関する業務を簡便にするための製品およびサービスを提供しています。

1.ITプロダクト事業
国際会計基準に対応した会計パッケージの開発および販売を行っています。
連結財務諸表作成の「連結大王」、キャッシュフロー計算書作成の「資金大王」、退職給付債務算定の「年金大王」、時価主義対応の有価証券管理の「時価大王」、有価証券報告書作成の「有報大王」などです。
また、個別会計ソフトのデータを連結大王に吸い上げるための接続キットもあります。
400社超の企業に導入実績があり、内240社が公開企業です。
売上高構成比は約54%です。(2001年10月期)

2.アカウンティングソリューション事業
戦略的な会計コンサルティング、アウトソーシングから、システムコンサルティングまでを提供します。
具体的には、会計データの収集指導、会計処理の実務指導、国際会計基準に準拠した財務諸表の作成・支援、有価証券報告書の作成・支援、効果的なディスクロージャー実現のための支援などです。
売上高構成比は約31%です。(2001年10月期)

3.マーチャンダイズ事業
企業の経営戦略やディスクロージャーをトータルにサポートするために自社では提供できない他社製品の各種会計システムや関連機器を販売しています。
売上高構成比は約15%です。(2001年10月期)

 

強みと特徴

1. 低価格・高機能な会計システムを自社設計・自社開発
直接顧客と接している経験豊富な公認会計士、税理士が設計を担当しているため、顧客ニーズに合ったソフトの開発が可能です。また、自社内で開発しているため、会計制度の変更があっても迅速に対応ができ、顧客独自の特性や経営課題へ対応したカスタマイズが可能になっています。
この自前路線により、短期間で、競合製品の約半分以下という低価格(300万円程度)・高機能な会計システムを提供することができます。

2. 優良顧客資産
公開企業を中心に約400社にシステムを導入しています。 導入後のコンサルティングサービスにより顧客との強固な関係を構築しています。

3. 強固な収益構造
ソフトの開発・販売からスタートした同社ですが、コンサルティング・システム サポートに加え、今後は総合ディスクローズビジネスを展開していくなど、多様な収益メニューを複合化させ強固な収益構造となっています。

 

今後のビジネス展開

今2002年10月期は、連結大王の上級バージョン「連結大王 サミット」の開発がスケジュールよりも遅れたことなどにより、売上高が伸び悩み、業績の下方修正を余儀なくされました。
こうした状況に対して、「来期はかなり積極的にビジネス展開を進めていきます」と吉木社長は決意を新たにその経営戦略をお話くださいました。

単なる財務諸表作りにとどまらず、企業の経営戦略立案に使うことが出来る「連結大王 サミット」は開発が終了し来期からは回収期に入ります。これをベースに単体だけでなく、様々な分野に特化したグループ経営を推し進めていき、「新ビジネストラスト」を作り上げるためのスタートの年と、吉木社長は来期を位置付けています。

まず、コンサルティング力を強化するために、新会社を設立し、高度な情報開示ビジネスを展開していきます。コンサルティングに加え顧客からニーズの高い「情報開示のアウトソーシング」事業を進めていきます。
上場企業にとっては年間に2回、連結決算を行い、有価証券報告書やキャッシュフロー計算書の作成を行うためには、経験豊富で優秀な人間を決算時の1−2ヶ月に張り付けなければなりませんが、逆に決算が済めばその人間の仕事は極端に少なくなってしまいます。また、企業にとってみれば経営に必要なデータが揃っていればいいわけで、その作成を全て自社で行う必要はありません。こうした要因から、「情報開示のアウトソーシング」需要は急速に高まっています。

次に、経理・金融に焦点を絞った人材ビジネスに参入します。今年9月に人材紹介を手掛けるHRA社を子会社化しました。銀行、証券のディーラーなどに加え、経理、IRなどの紹介および派遣を行っていきます。
また、上のアウトソーシング事業を拡大するには人材が必要であり、ビジネストラスト自身の人材獲得にも効果を発揮すると考えています。
また、M&Aや多角化を推進するための子会社も設立する予定です。

こうした展開により、同社の強みである優良な顧客資産を有効活用して売上のスケールアップを図っていく考えです。

 

配当について

取材に先立って最新の四季報を見てみたら、2002年10月期の一株当り配当金の予想が800−1000円と当初発表の3000円から減配となっています。 その点を伺ってみると、「減配の考えはなく、3000円を維持する予定」とのことです。

 

取材を終えて

今期は何にもまして、「連結大王 サミット」発売のずれ込みが痛かったとのことです。 しかし、この問題も解決。「ベンチャー企業として出発した時の心を忘れずにダイナミズムを生み出したい」という吉木社長の来期にかける意気込みはかなりのものと感じました。

同社を取り巻く市場環境は今までもそうでしたが、今後も大きな変化が続くと思われます。 連結納税制度の導入など新会計基準への対応、より積極的かつタイムリーなディスクロージャーの要請など。特に「四半期開示の義務付け」は大きなポイントになると考えられます。上にも書いたように、効率経営を目指す企業にとって、会計、情報開示におけるアウトソーシング需要は今後一層強まっていくことは容易に予想できます。

こうした半面、同社株価は10月8日現在、終値11万円と低迷しています。
この株価での配当利回りは3.0%。PBR 0.57倍です。
一方、時価総額約6.3億円に対し、2002年4月末時点での現預金および有価証券は、6.8億円で一株当りでは118,520円。有利子負債もゼロとなっています。

新たな経営戦略の進捗状況と共に、この株価水準にも注目していきたいと思います。

 
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