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ブリッジレポート:(2437)シンワアートオークション vol.13

(2437:大証ヘラクレス) シンワアートオークション 企業HP
倉田 陽一郎 社長
倉田 陽一郎 社長

【ブリッジレポート vol.13】2008年5月期決算業績レポート
取材概要「09/5期はインフレ進行を踏まえ、厳格な1年ルールの下、在庫投資と商品販売を積極化する。中期的には、コンテンポラリーを伸ばすと共に、近代・・・」続きは本文をご覧ください。
2008年7月22日掲載
企業基本情報
企業名
シンワアートオークション株式会社
社長
倉田 陽一郎
所在地
東京都中央区銀座 7-4-12
決算期
5月
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2008年5月 1,621 194 201 98
2007年5月 2,228 449 451 256
2006年5月 2,334 562 567 311
2005年5月 1,940 440 410 235
2004年5月 1,680 319 311 174
2003年5月 1,222 234 231 122
2002年5月 1,158 139 129 70
2001年5月 1,105 200 202 38
2000年5月 1,302 218 201 109
株式情報(7/14現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
47,900円 57,772株 2,767百万円 4.9% 1株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
2,500.0円 5.2% 1,887.71円 25.4倍 34,181.89円 1.4倍
※株価は7/14終値。発行済株式数は直近期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
シンワアートオークションの2008年5月期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
美術品オークション運営のパイオニアで国内シェア31%(「月間美術」による)を誇る最大手。日本に高額美術品の換金市場を確立するため、公明正大なオークション市場の創造と拡大に取り組んでいる。
 
<事業内容>
同社の売上高は、オークション落札価額やプライベートセールの取引価格に対する手数料収入、カタログの販売、オークションの出品者から徴収するカタログ掲載料、及び商品売上で構成されている。プライベートセールとは、美術品の直接取引を希望する顧客間のマッチングを行うもので、オークションを介さない美術品の仲介販売。また、営業戦略上、同社が買取った後にオークションに出品するケースや、プライベートセールで売却するケースもあり、この場合、オークション落札価額や売買代金が売上高として計上される。
 
 
<財務方針>
同社は、日本における美術品オークションのリーディングカンパニーとして、換金市場に対する責任を担っており、その責任を果たすため、以下に示す「100年の信頼を築くための財務基本方針」を掲げている。
 
 
2008年5月期決算
 
 
前期比27.2%の減収、同56.7%の営業減益。取扱高、売上高、及び各利益の全てが予想を下回った。 国内美術品市場は06年9月以降、先高感による売渋りが見られたが、2007年3月頃には高額品の出品もあり、その状況が解消に向かう兆しを見せていた。このため、08/5期の業績予想は、ある程度の市場の回復を織り込んでいたが、07年9月以降、米国のサブプライムローン問題の顕在化による日本経済の先行き不透明感等から、国内美術品業界でも様子見ムードが強まり、日本作家の近代美術作品を中心に取引量が大幅に減少した。同社のメインオークションである近代美術オークションも、こうした影響が避けられず、高額作品の出品数が減少すると共に、落札率も低下。上記のように予想を下回る結果となった。
ただ、コンテンポラリーアート市場が急拡大している事、Jewellery&Watches等その他のオークションについても今後の成長が見込める事、更には09/5期は経営の合理化推進により収益性の改善が期待できる事等から、08/5期は計画通り、1株当たり2,500円の配当を実施する考え。

主な落札実績としては、パブロ・ピカソ「Le Peintre et son Modele(画家とモデル)」195,000 千円(2007年9月近代美術オークション)、マルク・シャガール「Souvenir d'Hiver(冬の想い出)」140,000 千円(2007年7月近代美術オークション)、東山魁夷「朝の聖堂 ドイツ・リンブルク」112,000 千円2008年3月近代美術オークション)等を挙げる事ができる。

尚、無借金で総資産の74%弱が現預金と、財務内容は引き続き良好。この現預金の有効活用が課題となるが、既に実施している自社株買いに加え、今後はインフレ局面にある事を踏まえて、自らがオークションに出品したり、プライベートセールスで売却したりするための在庫の積み増しを図る他、前渡金(次のオークションのための先行投資)として積極的に活用していく考え。
 
08/5期の新たな取組み
より質の高いオークションの開催と顧客サービスの充実を目指して、07年9月よりオークションの落札手数料を以下の通り改定した。
 
 
また、新規顧客開拓を目的として、オリックス、西日本銀行、及びPOLYオークション(北京)と業務提携を行った。この他、コンテンポラリーアートオークションに注力するため、コンテンポラリー部を新設した他、アジアを中心としたグローバル・マーケティングを強化するため、プロジェクトチ-ム「グローバル・マ-ケティング・プロジェクト」を新設した。
 
 
 
 
日本のオークション業界の現状と今後の展望
 
同社では、日本のオークション業界の現状を次のように分析すると共に、今後の展望について説明している。
 
(1)日本のオークション業界の現状  デフレとインフレの狭間の真空状態
現在の日本の美術品取引業界は、デフレとインフレの狭間にあり、07年9月以降、作品の動きが急激に鈍化し、ある種の真空状態ともいえる状況に陥っている。デフレの際には換金需要があり、インフレの際にはキャピタルゲインを得るための需要がある事から、デフレ時、インフレ時ともオークション会社は出品を得る事ができるが、その狭間に陥ると、デフレの記憶から美術品取引関係者の心理が委縮し、保守的な判断の下で美術品の取扱いを行う状況になる。また、無理に換金する必要がない状況の中で価格が上がっていないため、オークションに出品され難い状況になっている。
 
(2)今後の展望  新たな成長に必要なグローバル化とアイテムの変化
日本の美術品オークション業界はここ数年間、成長率が鈍化している。しかし、長期的には非常に大きな成長余力を残しており、21世紀における高額品の換金市場としてのオークション市場は、数千億円にまで発展していくと、同社では考えている。つまり、この停滞期の向こうに、新たな成長期が待っているというわけだ。
もっとも、眠っている成長力を顕在化させるためには、日本のオークション会社がグローバル化し、国際的な競争力を持つ事で世界中からの参加者を日本に呼び込む等、自助努力が必要であると言う。同社では、世界中の参加者が日本市場を刺激し、潜在的に巨大な需要のある日本市場の活性化を図り、新たに成長させていくと考えている。
また、近代美術中心のポートフォリオを、コンテンポラリーアート中心のポートフォリオに組み替える等、アイテムの変化も必要で、Jewellery&Watches等のアイテムを育成していく必要もあると言う。
 
(3)同社の中期事業方針(成長シナリオ)
コンテンポラリー分野を中心に、アジアをはじめ各国の美術品コレクターを日本市場へ誘導すると共にオークションへの参加を促し、日本の美術品オークション市場を活性化させる事で、自らをグローバルカンパニーとして再成長軌道に乗せると共に、安定した経営基盤の構築につなげていく方針。また、多様な人材を確保し、個人が成長できる体制・環境づくりに取組み、組織力を最大限に発揮する事を目指す。この一環として、09/5期中に1回以上の海外オークションの開催を予定している。21世紀の文化の中心は「北京」。ビジネスは「香港」、「シンガポ-ル」と言うのが同社の考え。
アイテム別戦略としては、コンテンポラリーアートオークションに注力するため、コンテンポラリー部を新設した。絵画、写真、立体に加え、デザイン家具の取り扱いを始め、08年7月6日には、SUMMER+AUCTIONを開催(会場:丸ビルホール)した。また、09/5期は在庫枠を拡大、積極的に在庫投資を行い、自社オークション又は他社オークションを活用して売却しキャピタルゲインを追及していく考え。この他、Jewellery&Watchesの取扱拡大に取り組む他、近代美術については、引き続き高額で優良な作品に特化する。
 
2009年5月期業績予想
 
<事業指針>
 
 
 
前期比17.8%の増収、同10.8%の営業増益予想。
コンテンポラリー分野で積極的に仕入を行い、オークション等で売却していく考えで、商品売上高が544百万円と同130%増加する見込み。オークションでは、海外マーケティングの拡大、新規顧客の獲得、及びコンテンポラリーアートの更なる拡大に取り組む考え。一方、経費削減を徹底する事で同6%弱の販管費の圧縮を図り、収益体質を強化する。
 
 
 
取材を終えて
09/5期はインフレ進行を踏まえ、厳格な1年ルールの下、在庫投資と商品販売を積極化する。中期的には、コンテンポラリーを伸ばすと共に、近代美術の高額品戦略を維持する考え。ただ、そのためには、海外のコレクターを日本へ呼び込む必要があるため、海外でのマーケティングを強化する。この一環として、今期は1回以上の海外オークションの開催も予定している。業績の回復・拡大には、「海外展開が不可欠」との考えだが、決して日本をないがしろにしている訳ではない。グローバル展開の根底にあるのは「日本の優れた美術品を海外へ」と言う日本美術への慈しみである事を付け加えておきたい。