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ブリッジレポート:(2437)シンワアートオークション vol.16

(2437:大証ヘラクレス) シンワアートオークション 企業HP
倉田 陽一郎 社長
倉田 陽一郎 社長

【ブリッジレポート vol.16】2009年5月期第3四半期業績レポート
取材概要「3月21日開催の近代美術オークションにおいて、岸田劉生の油彩画「静物(砂糖壺・リーチの茶碗と湯呑・林檎)」が1億3500万円で落札された。作・・・」続きは本文をご覧ください。
2009年4月28日掲載
企業基本情報
企業名
シンワアートオークション株式会社
社長
倉田 陽一郎
所在地
東京都中央区銀座 7-4-12
決算期
5月
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2008年5月 1,621 194 201 98
2007年5月 2,228 449 451 256
2006年5月 2,334 562 567 311
2005年5月 1,940 440 410 235
2004年5月 1,680 319 311 174
2003年5月 1,222 234 231 122
2002年5月 1,158 139 129 70
2001年5月 1,105 200 202 38
2000年5月 1,302 218 201 109
株式情報(4/10現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
22,000円 54,772株 1,205百万円 4.9% 1株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
0.00円 0.0% -2,643.08円 - 26,833.33円 0.8倍
※株価は4/10終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
シンワアートオークションの2009年5月期第3四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
美術品オークション運営のパイオニアで業界唯一の上場企業。高額落札作品市場シェア33%(「月刊美術」による)を誇る最大手であり、日本に高額美術品の換金市場を確立するため、公明正大なオークション市場の創造と拡大に取り組んでいる。
 
<事業内容>
同社の売上高は、オークション落札価額やプライベートセールの取引価格に対する手数料収入を中心に、カタログの販売、オークションの出品者から徴収するカタログ掲載料、及び商品売上で構成されている。プライベートセールとは、美術品の直接取引を希望する顧客間のマッチングを行うもので、オークションを介さない美術品の仲介販売。また、営業戦略上、同社が買取った後にオークションに出品するケースや、プライベートセールで売却するケースもあり、この場合、オークション落札価額や売却額が売上高(商品売上)として計上される。
 
 
2009年5月期第3四半期決算
 
 
前年同期比46.3%の減収、238百万円の経常損失(前年同期は122百万円の利益)。
リーマンブラザースの破綻があった昨年9月以降、同社の主力である高額美術品の価格が下落しており厳しい状況が続いている。ちなみに、価格下落は同社の経営に二つの意味を持つ。一つは手数料収入の減少である。同社の収益の大半は出品や落札に係る手数料収入であるため、価格下落は手数料収入に直接的に影響する。そして、もう一つは、価格の下落を嫌気しての出品意欲低下により慢性的な商品不足に陥る事である。さすがにアジア勢も一時期に比べると慎重ではあるが、依然として買い意欲は強いようだ。また、国内勢も全く動かないわけではない。10億円の作品が集まれば、10億円の取扱高をつくる事は可能だと言う。しかしながら、売り物が無いため、商いをつくる事ができない。
取扱高の前年同期比に表れているように、この1年で市場規模はほぼ半減。経費削減に努めた結果、販管費は641百万円と前年同期比16.8%減少したものの、取扱高の落ち込みによる売上総利益の減少をカバーできず242百万円の営業損失となった。
 
 
 
流動性が悪化したものの、有利子負債に依存しない健全な財政状態が維持されている。第3四半期末の自己資本比率は90.1%。当面の運転資金に不安はない。
 
 
 
 
日本のオークション業界の展望と同社の施策
 
(1)日本のオークション業界の展望
日本の美術品オークション業界はここ数年間、成長率が鈍化しており、当面は調整局面が続くものと思われる。しかし、「長期的には非常に大きな成長余力を残しており、21世紀における高額品の換金市場としてのオークション市場は、数千億円にまで発展していく」と同社では考えている。
もっとも、眠っている成長力を顕在化させるためには、日本のオークション会社がグローバル化し、国際的な競争力を持つ事で世界中から参加者を日本に呼び込む等の努力が必要であると言う。同社では、世界中の参加者が日本市場を刺激し、巨大な潜在需要のある日本市場の活性化を図り、新たに成長させていくと考えている。
また、近代美術中心のポートフォリオを、近代美術の規模を維持した上で他のアイテムの比重を高めたポートフォリオに組み替える等の取組みが必要で、Jewellery&Watchesやその他の高額品アイテムを育成していく必要もあると言う。
 
(2)同社の施策
中長期的な観点に立つ布石に加え、当面の厳しい事業環境に対応するための新たな合理化策にも取り組む。
 
①Councilオークション(北京)との業務提携
グローバルマーケティング強化の一環として、2009年2月1日、北京に本社を置くCouncilオークションと業務提携した。Councilオークションの中国国内における美術品取扱いの豊富な知識と経験を活かし、シンワアートオークションが扱う中国古書画・骨董の販売チャネルを中国本土に確立する。具体的には、シンワアートオークションが日本国内で集荷した作品の査定及びオークションへの出品をCouncilオークションに委託する。Councilオークションは、同社が中国国内で開催するオークションで作品を売却し、シンワアートオークションへ代金及び紹介手数料を支払う。そして、シンワアートオークションが出品者へ代金を支払う。
 
②海外でのオークション開催
アジアの有力オークションハウスとの海外でのオークション共同開催により、アジアコネクションの一層の強化を図る。具体的には、昨年11月の「Asian Auction Week in Macao」に続く第2段として、2009年5月15日に「Asian Auction Week in Hong Kong」をコンラッド香港にて開催する予定である。Kオークション(韓国)、キングスレー(台湾)、ララサティ(シンガポール)、及びシンワアートオークションの4社によるマカオでの経験を生かしたスモールオペレーションでの開催。各社が約30~50点程度の出品を予定している。尚、「Asian Auction Week」は、アジア主要都市(北京、上海、台北、ソウル、香港、シンガポール)でのコネクション構築を進める上でのマーケティングの橋頭堡として位置づけられている。
 
③合理化策
同社は2008年6月以降、「第20期に向けた経営指針に関するお知らせ」(同年5月7日発表)の中で示した役員報酬の減額をはじめとする経費削減に関する諸施策に取り組んできた。2009年3月末時点で概ねその削減目標を達成したものの、昨秋以降の世界的金融危機を背景に、同社の経営環境も未曾有の規模と速さで悪化。このため、今後想定される更なる厳しい経営環境に耐えうる収益構造を構築するため、役員報酬の減額を継続すると共に、希望退職者の募集と従業員賞与の減額を実施する。
 
・役員報酬減額の継続
「第20期に向けた経営指針に関するお知らせ」で示した取締役報酬及び監査役の報酬の減額は2009年5月までの予定だったが、業績回復の目処が立つまで継続する。
 
・希望退職者の募集
入社後1年以上の正社員を対象とし、募集人数は25名程度。募集期間は2009年4月13日から同年4月24日までとし、退職日は2009年5月31日(予定)。希望退職者には、所定の退職金に加え特別加算金が支給される。
 
・従業員賞与の減額
業績回復の目処が立つまで、全従業員を対象に賞与の減額を実施する。
 
2009年5月期業績予想
 
 
前期比35.0%の減収、146百万円の経常損失予想(前期は201百万円の利益)。
通期の業績予想に変更はなかったものの、業績予想を達成するために越えなければならないハードルは高い。09年5月には、メインオークション、「Asian Auction Week in Hong Kong」を開催する予定。これらのオークション開催に向けた営業強化はもちろん、引き続き経費削減に努めると共に、来期以降に向けたアジア戦略の布石を続ける考え。
 
取材を終えて
3月21日開催の近代美術オークションにおいて、岸田劉生の油彩画「静物(砂糖壺・リーチの茶碗と湯呑・林檎)」が1億3500万円で落札された。作品の価値を考えると、落札価格に物足りなさを感じる向きも少なくないようだが、金融不安や景気悪化で低迷が続く国内オークション市場において久々の明るい話題である。未だ回復感に乏しい国内オークション市場ではあるが、リーマンショックを受けた第2四半期(9-11月)に比べると状況は好転している模様。同社においても、中国を中心にしたアジア戦略のための布石が順調に進んでいる事に加え、今回発表された合理化策の効果により、来下期以降の損益均衡の目処も立ちつつある。