ブリッジレポート
(3031:東証マザーズ) ラクーン 企業HP
小方 功 社長
小方 功 社長

【ブリッジレポート vol.15】2011年4月期第2四半期業績レポート
取材概要「同社の黒字化は定着したと言えるが、利益の伸びは鈍い。多くの投資家は、損益分岐点を越えたECサイト企業に対しては高い利益成長を期待していると・・・」続きは本文をご覧ください。
2010年12月21日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社ラクーン
社長
小方 功
所在地
東京都中央区日本橋蛎殻町1-18-11
事業内容
ネットを利用した問屋。衣料、雑貨の製造業者や輸入業者と小売店を仲介
決算期
4月 末日
業種
卸売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2010年4月 7,642 102 102 108
2009年4月 7,018 93 93 89
2008年4月 5,662 -158 -158 -160
2007年4月 3,334 -205 -203 -305
2006年4月 2,289 131 95 122
2005年4月 1,247 26 23 45
2004年4月 890 -56 -57 -58
2003年4月 621 -104 -105 -130
2002年4月 494 -192 -193 -200
2001年4月 204 -171 -175 -179
株式情報(12/10現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
156,300円 9,081株 1,419百万円 11.0倍 1株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
- - 12,663円 12.34倍 11749.90円 1.40倍
※株価は12/10終値。発行済株式数は直近期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
ラクーンの2011年4月期第2四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
インターネット上のB2B(企業間電子商取引)市場であるeマーケットプレイス(Webサイト)の運営企業。
アパレル、雑貨を中心にメーカー、インポーター等(以下、出展企業)の取扱う商品を、「スーパーデリバリー」と言うWebサイトを通じて全国の中小小売店(以下、会員小売店)に販売している。
 
<事業内容>
 
1.「スーパーデリバリー」:現在の主力事業
アパレル、雑貨の新商品及び定番品を取扱っている。商品は出展企業から会員小売店に直送され、同社は代金決済を代行する。出展企業は、地方・中小小売店との取引上ネックだった決済機能、営業コスト、事務処理の手間を解消することが出来る。また、出展企業が許可した会員小売店にのみ卸値等の情報開示を行うため、ブランドイメージのコントロールが可能になっている。一方、会員小売店は多様な旬の商品の仕入が可能になる。同社は受注・出荷のデータ処理と決済のみを担当するため、運営負担が少ない。債権回収リスクは同社が負うことになるが、信販・クレジット・保証会社を利用することでヘッジしている。小売店は月額2,000円の小売店会費を負担し、出展企業は月額4万円の出展基本料と「スーパーデリバリー」での取引金額の10%をシステム利用料として負担する。したがって商材売上高が増加するだけでなく、会員小売店数、出展企業数が増加することが同社の売上総利益増につながる。
 
2.「オンライン激安問屋」「バイヤーズナビ」:サービス終了
同社は従来から各種問屋(主に雑貨、衣料)向けにアウトレット商品処分のための「オンライン激安問屋」というサービスを行っていたが、これらの問屋が上記の「スーパーデリバリー」に参加することで、彼らの在庫は大きく減少し、同サービスの需要は減少傾向にあった。そこで同社では2008年10月末で「オンライン激安問屋」サービスを終了し、そのシステムおよび顧客リストの有効利用として2008年9月中旬より「バイヤーズナビ」と言う新サービスを開始した。

しかしながら、「スーパーデリバリー」、「バイヤーズナビ」の両サイトを並行して利用する出展企業、小売企業が多かったことから、これらを一本化することがユーザビリティーの向上に繋がると判断し、2009年5月末日をもって「バイヤーズナビ」のサービスを終了した。
 
 
2011年4月期第2四半期決算
 
 
売上高は前年比3.1%増となったが、出展企業の審査基準の引き上げによる新規出店企業の獲得が一時的に減少、これにより粗利率の高い出展基本料売上が減少し、売上総利益率は16.7%(前年同期16.9%)へ低下した。
コストは全事業年度に続き全般的に低水準で推移した結果、営業利益率は1.4%と前年同期より0.2ポイント低下した。

 商品売上高:      3,537百万円(前年比3.6%増)
 会員小売店向け売上高:  129百万円(同4.9%増)
 出店企業向け売上高:   173百万円(同0.7%減)
 
 
(売上高・経常利益の推移)
四半期ベースで売上高は微増に止まった。
 
 
(販売費および一般管理費の対売上高比率)
販売費および一般管理費は、対売上比では低下傾向にあり、堅調に推移している。
 
 
 
流動資産:掛売り決済の締め日を変更(25日締めから20日締め、入金は翌月20日で変わらず)したことにより売掛金が増加。
 
固定負債:新規借入れに伴い長期借入金が増加した。
 
純資産:四半期純利益の計上により利益剰余金が増加した。
 
 
営業活動によるキャッシュ・フロー:売掛金が増加したが、純利益の計上により増加した。
投資活動によるキャッシュ・フロー:ソフトウェア開発による無形固定資産の増加。
財務活動によるキャッシュ・フロー:新規借入れにより長期借入金が増加。
 
<スーパーデリバリーの状況>
(売上高推移)
各売上高は第1四半期に比べて横ばい傾向。
 
 
(購入者数と客単価推移)
審査基準の引き上げにより購入客数は減少傾向。一方で審査基準変更後に獲得した小売店の客単価は上昇しているが、これらの小売店の比率(占有率)は全体的にはまだ低いので、全体数値への影響はまだ小さい。
 
 
(出展更新料・基本料推移)
審査基準の変更(厳格化)等により獲得を絞り込んでいるため、増加ペースは抑制されているが、質の高い企業がサイト上に掲載されることで、他の優良メーカーの出展を促進させる牽引役となっている。
 
 
<上半期施策の進捗について>
「スーパーデリバリー」のブランド価値向上のために、審査基準を引き上げることにより、質の高い会員小売店・出展企業の獲得を推進する。
 
 
現時点では、質の高い会員小売店・出展企業の占有率が低いため、全体的な数値への影響はまだ顕著には現れていないが、今後除々に比率が高まっていくことで向上していく見込み。
 
 
2011年4月期業績予想
 
 
下記に述べるように、(株)トラスト&グロースを子会社化したことで2011年4月期第3四半期から連結決算へ移行する。上記は連結の業績予想であり、同子会社の4ヶ月(2010年12月1日〜2011年3月31日)の業績予想を織り込んだものである。なお、個別予想については当初予想を変更していない。
 
 
(株)トラスト&グロースの子会社化と中小企業間決済ビジネスへの参入について
 
<(株)トラスト&グロース(T&G社)について>
 
(会社概要)
本社 :東京都千代田区
設立 :2010年10月1日
資本金:5,000万円
役員 :代表取締役 武田 浩和
    取締役 5名(内3名を同社から派遣) 監査役 1名(同社から派遣)
業種 :売掛債権保証事業
 
(沿 革)
2003年11月 :NISリース(株)設立。リース事業を主体とした営業開始。
2004年3月 :NISリースの一事業、売掛保証事業部として営業開始
2010年10月 :簡易新設分離により、株式会社トラスト&グロース設立
2010年11月 :(株)ラクーンが100%の株式を取得したことにより、同社の子会社へ。
 
(最近3年間の経営成績)
 
上記はNISリース(株)の管理会計上の売掛保証事業部門の数値。
10年3月期は、当時の親会社の出資先企業に対する保証案件において大口のデフォールトが発生し、営業利益が赤字となったが、現在は同様の保証先はない、と会社側は説明している。
 
<株式取得の概要>
取得株式数 : 10,000株(議決権の数10,000個、発行済株式数に対する割合は100%)
取得価額  : 270百万円(手元資金171百万円、無担保転換社債型新株予約権付社債99百万円)
取得先   : NISリース株式会社
 
(無担保転換社債型新株予約権付社債の発行について)
発行期日  :2010年12月6日
新株予約権の総数:33個
潜在株式数 :660株(希釈化…7.27%)
資金調達の額:99百万円
転換価格  :150,000円(株価下落による転換価額の修正なし)
割当予定先 :第三者割当により全額をJAIC Growth Target Fund-I に対して割り当てる。
(詳細は2010年11月17日付け発表資料参照)
 
<売掛債権保証事業とは>
売掛債権保証事業とは売掛債権を保証し、万が一販売先が支払不能になった場合に、あらかじめ設定した保証金額を払うもの。 取引発生の前に、あらかじめ保証契約を締結している事業会社の取引先の審査を行うもの。
 
 
<ポジショニングと優位性>
下図のように、T&G社は中小企業に対する売掛保証を強みとしている。
 
 
<中小企業間決済を新たな事業ドメインへ>
「スーパーデリバリー」を運営していく中で、中小企業間取引における決済機能がインフラとして重要な役割を果たすことを認識し、可能性について検討してきたが、必要であるとの結論からT&G社の子会社化に踏み切った。
 
 
<中小企業間取引に係る決済ノウハウと子会社化の目的>
 
 
中小企業で、一連のノウハウを構築するのは難しいため、取引先拡大のボトルネックになる。
スーパーデリバリーの出展企業については、スーパーデリバリーを利用することで一部を解消してきた。

T&G社を子会社化することで、上記の4ステップのノウハウを保有することが可能となり、中小企業間決済を新たな事業ドメインとすることが可能になる。
 
<子会社化の効果>
従来はスーパーデリバリーを利用することでリスクを回避してきたが、今後は独自に取引を行っている取引先に対しても保証を受けることが可能になる。
 
 
また、「スーパーデリバリー」の取引企業以外にもサービスを拡大することで会社の事業全体の成長が加速され、さらに(株)ラクーンのリソース(顧客ネットワーク、IT技術、営業力等)を投入することで、T&G社自体の成長も加速される、これが今回の子会社化の効果だと会社側は述べている。
当面の間は、仕入サイト「スーパーデリバリー」とT&G社の売掛債権保証のサービスに注力していくが、今後は中小企業間決済に関わる分野に関連する事業モデルの開発にも取り組むと会社側は述べている。
 
 
取材を終えて
同社の黒字化は定着したと言えるが、利益の伸びは鈍い。多くの投資家は、損益分岐点を越えたECサイト企業に対しては高い利益成長を期待していると思われるが、同社の成長率は現状ではその期待に沿うことは難しいであろう。
また同社は、T&G社の100%株式を取得し中小企業間決済取引に参入することとなったが、本来はリスクがあるために外注(アウトソーシング)していた分野である。そのため、今回自ら参入した結果がどうなるか、まだ結論付けることは出来ないが今後の動向に注目したい。
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
このレポートは当社が信頼できると判断した情報源(当該発行会社が作成した会社説明資料等)の情報に基づき作成したものですが、その正確性について当社が保証するものではなく、また当資料の一部また全部を利用することにより生じたいかなる損失・損害についても当社は責任を負いません。
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