ブリッジレポート
(3031:東証マザーズ) ラクーン 企業HP
小方 功 社長
小方 功 社長

【ブリッジレポート vol.17】2011年4月期業績レポート
取材概要「前々期までの4年間取り組んできた中期経営戦略について同社では、「スーパーデリバリー」の事業規模の拡大と収益構造の改善・強化という目的は概ね・・・」続きは本文をご覧ください。
2011年6月28日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社ラクーン
社長
小方 功
所在地
東京都中央区日本橋蛎殻町1-18-11
事業内容
ネットを利用した問屋。衣料、雑貨の製造業者や輸入業者と小売店を仲介
決算期
4月 末日
業種
卸売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2011年4月 8,057 125 116 160
2010年4月 7,642 102 102 108
2009年4月 7,018 93 93 89
2008年4月 5,662 -158 -158 -160
2007年4月 3,334 -205 -203 -305
2006年4月 2,289 131 95 122
2005年4月 1,247 26 23 45
2004年4月 890 -56 -57 -58
2003年4月 621 -104 -105 -130
2002年4月 494 -192 -193 -200
2001年4月 204 -171 -175 -179
株式情報(6/10現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
59,500円 18,162株 1,081百万円 15.2% 1株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
未定 - 4,625円 12.86倍 62,326 円 0.95倍
※株価は6/10終値。発行済株式数、BPSは直近期末の発行済株式数から自己株式を控除したものに11年5月の1:2の株式分割を反映。
 
ラクーンの2011年4月期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
インターネット上のB2B(企業間電子商取引)市場であるeマーケットプレイス(Webサイト)の運営企業。
アパレル、雑貨を中心にメーカー、インポーター等(以下、出展企業)の取扱う商品を、「スーパーデリバリー」と言うWebサイトを通じて全国の中小小売店(以下、会員小売店)に販売している。

さらに2010年10月にT&G社を完全子会社化、これによって売掛債権保証事業に進出した。
 
<事業内容>
 
1.「EC事業」:スーパーデリバリーによる今までの中心事業
アパレル、雑貨の新商品及び定番品を取扱っている。商品は出展企業から会員小売店に直送され、同社は代金決済を代行する。出展企業は、地方・中小小売店との取引上ネックだった決済機能、営業コスト、事務処理の手間を解消することが出来る。また、出展企業が許可した会員小売店にのみ卸値等の情報開示を行うため、ブランドイメージのコントロールが可能になっている。一方、会員小売店は多様な旬の商品の仕入が可能になる。同社は受注・出荷のデータ処理と決済のみを担当するため、運営負担が少ない。債権回収リスクは同社が負うことになるが、信販・クレジット・保証会社を利用することでヘッジしている。小売店は月額2,000円の小売店会費を負担し、出展企業は月額4万円の出展基本料と「スーパーデリバリー」での取引金額の10%をシステム利用料として負担する。したがって商材売上高が増加するだけでなく、会員小売店数、出展企業数が増加することが同社の売上総利益増につながる。
 
2.「売掛債権保証事業」:昨年度第3四半期からの新事業
昨年度第3四半期からT&G社を完全子会社化したが、これにより以前から検討してきた「中小企業決済業務」を、既存の「スーパーデリバリー」に続く同社の事業ドメインと位置づけ、新規事業とした。T&G社の顧客層がスーパーデリバリーの顧客層とかなり重複していることから、シナジー効果が生まれることが期待されている。

さらに中小企業に対する売掛債権保証は高度な与信ノウハウが必要とされることから、シナジー効果だけでなく単独の事業としても拡大が見込まれる分野である。
 
 
2011年4月期決算(連結)
 
<損益計算書サマリー>
 
 
2011年4月期の損益計算書(連結)の状況は上表のようになった。昨年第3四半期から連結決算であるため、前年比較は個別決算との比較である。(以下、前年同期比はすべて個別決算との比較)

今回よりセグメントを「EC事業」と「売掛債権保証事業」に変更したが、セグメントの状況は以下のようである。

東日本大震災の影響としては、売上高が一時的に大幅に減少したが、時間経過とともに徐々に回復基調にある。直接的な被害として特別損失6.7百万円を計上した。

その他の変動要因としては、投資有価証券評価損5百万円、ソフトウェアの減損による減損処理17百万円、ソフトウェアの除去に伴う固定資産除去損11百万円を計上。また主に子会社における繰延税金資産の増加に伴い法人税等調整額を116百万円計上した。 この結果、当期純利益は前年比で大きく増加した。
(EC事業)
売上高:8,001百万円(前年同期比4.9%増)
セグメント利益:80百万円(同22.0%減)

スーパーデリバリーにおいて、より質の高い小売店、出展企業を獲得するために「会員小売店」「出展企業」については昨年6月より審査基準を引き上げた。
これにより
 ● 新規小売店数が以前より減少して推移
  会員課金件数が穏やかに減少して推移 ⇒ 会費売上高は微増
  購入客数に影響 ⇒ 商品売上高の増加率が低い水準に留まる。
 ● 「出展企業数」の減少により出展基本料が減少
 
またスーパーデリバリーの会員小売店に対する未回収の売掛債権について貸倒引当金20百万円を計上した。
これらの要因により、同部門の売上高、セグメント利益は上記のレベルに留まった。
 
(売掛債権保証事業)
売上高:87百万円(前年比較はない)
セグメント利益:23百万円(同)

販売チャネルの拡充により保証残高(ひいては売上高)を伸ばした。
 ● (株)エフアンドエムとの業務提携契約締結
 ● 従来から業務提携を行っているリスクモンスター(株)の顧客向けにOEMにより提供している売掛債権保証サービスをリニューアルしてサービス提供開始。
<過去5年間の業績および主な経費率推移>
 
過去5年間の売上高および経常利益の推移は下図のようであった。(11年4月期は連結、それ以前は個別)
 
 
また販売管理費の売上比率の推移は下図のようになった。前期において変動費が急減しているのはT&G社を子会社化したことで保証料が減少したため。
 
 
<貸借対照表サマリー>
(前年比は対個別)
 
 
固定資産:子会社取得に伴う「のれん」93百万円発生

固定負債:転換社債型新株予約権付社債99百万円発生

純資産:当期純利益の計上により利益剰余金が増加
 
<キャッシュ・フローサマリー>
 
 
営業活動によるキャッシュ・フロー:税金等調整前純利益を72百万円の計上

投資活動によるキャッシュ・フロー:ソフトウェア開発および子会社株式の取得(95百万円)が主な支出要因

財務活動によるキャッシュ・フロー:借入金の増加や転換社債型新株引受権付社債発行99百万円による増加
 
<セグメント別概要>
 
「EC事業」:スーパーデリバリー売上高推移
スーパーデリバリーの四半期毎の売上高および内訳は下図、下表のように推移している。
 
 
「EC事業」:スーパーデリバリー購入者数と客単価推移
 
 
審査基準の引き上げにより、新規獲得の会員小売店数が以前と比べ減少し、全体の会員小売店数が伸び悩む。この影響で購入客数が減少。一方で、審査基準の引き上げにより、質の高い会員小売店獲得に伴い客単価は上昇。
 
「EC事業」:スーパーデリバリー出展更新料・基本料推移
審査基準の引き上げに伴う新規出展企業数の減少により、出展企業基本料が緩やかに減少した。
 
 
「売掛債権保証事業」:保証残高推移
 
 
子会社化後も安定した残高推移を維持。営業体制の整備により今期も増加予定。
 
「売掛債権保証事業」:収益構造
 
 
残高を積上げれば保証料(売上高)が増加する。諸経費を抑えると同時に審査精度を上げることで、貸倒れコストが抑制され、利益増につながる。

中小企業に対する売掛債権保証を強みとしていますが、 ̄超販篭化、⇒真ノウハウの継続的な蓄積、リスク手法の確立によりマーケットポジションを拡大することを会社側は計画している。
 
 
2012年4月期(連結)業績予想
 
<業績予想>
2012年4月期の業績を会社側では、震災の影響および新規事業の立上り動向など不透明な部分が多いため、レンジ幅をもたせ下表のように予想している。セグメント別の売上高、利益は開示していない。今後の事業方針を以下のように説明している。
 
 
 
<グループビジョン>
同社グループの今後の方針として、「利便性・専門性・先進性を追及した今までにない企業間取引のインフラを創造することをグループビジョンとして掲げ活動していく」と会社側は述べている。
 
 
同社グループでは、企業間取引を行うためには下図のような機能が必要であると説明している。
 
 
<EC事業について>
 
同事業の現在、今後について会社側は以下のように述べている。
 
(2011年4月期)
質の向上の取り組みにより、審査基準を引き上げたことで、会員小売店数の伸び悩み及び出展企業数の減少が売上高の成長を抑制。

しかしながら、良質な出展企業の獲得により、サイトのブランドイメージが向上。⇒ 質の高い会員小売店の獲得により、 購入率、客単価が向上

「スーパーデリバリー」のブランドイメージの向上に一定の成果はあったと認識している。
 
(2012年4月期)
質の向上に引き続き取り組みながら、審査基準引き上げ後の「会員小売店」及び「出展企業」の数を増やすことにも注力。
 
 
<売掛債権保証事業について>
保証残高を拡大することで、保証料収入を増加させ事業拡大を図る。そのために、以下のような施策を実行する。
 
営業力の強化
積極的な業務提携契約の締結等により、販売チャネルを拡充、営業基盤を拡大
 
与信ノウハウの継続的な蓄積
引き受ける保証先企業に対する審査精度を向上し、保証履行の発生率を適切にコントロール
 
リスク移転手法の確立
再保証の活用により、リスクを抑えながら保証先規模を拡大し、保証残高を大幅増加
 
 
<新規事業の開発について>
 
昨年末より取り組み始めた新規事業の開発に本格的に取り組む方針であり、その内容は「中小企業間の取引をより便利でスムーズなものにするための企業間の資金決済に特化したサービス(予定)」であると会社側は述べている。
新規事業の開発にかかる人材、システム、広告等に対する総投資額は約80百万円程度(うち、2012年4月期における損益影響額約56百万円程度)を見込んでいる。
一方で新規事業の売上高については、2012年4月期の業績予想に織り込んでいない、との説明があった。
 
 
取材を終えて
前々期までの4年間取り組んできた中期経営戦略について同社では、「スーパーデリバリー」の事業規模の拡大と収益構造の改善・強化という目的は概ね達成され、企業間取引(BtoB)のアパレル・雑貨マーケットにおける存在感を示すことが出来たと考えている。「スーパーデリバリーの持続的成長」を目指す第2ステージの1年目に当たる前期は、審査基準の引き上げにより売上高の伸びこそ鈍かったものの、購入率と客単価の向上、サイトのブランドイメージ向上と、財務・非財務両面での前進が見られたといえるだろう。今期、来期はこの「質への向上」への取り組みが、本格的に業績およびブランドイメージに反映し企業価値の向上につなげることができるか?が試される年となる。不透明要因が多いとはいえ、新規事業の進捗も注視していきたい。
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
このレポートは当社が信頼できると判断した情報源(当該発行会社が作成した会社説明資料等)の情報に基づき作成したものですが、その正確性について当社が保証するものではなく、また当資料の一部また全部を利用することにより生じたいかなる損失・損害についても当社は責任を負いません。
本レポートに関する一切の権利は(株)インベストメントブリッジにあります。また本資料の内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。
投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申しあげます。
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