ブリッジレポート
(9441:JASDAQ) ベルパーク 企業HP
西川 猛 社長
西川 猛 社長

【ブリッジレポート vol.4】2014年12月期上期業績レポート
取材概要「昨秋にNTTドコモがiPhoneの取り扱いを開始した事で、通信キャリア3社は、端末、ネットワーク、サービスの基本的要素の全てで差別化が難しくなった・・・」続きは本文をご覧ください。
2014年9月2日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社ベルパーク
社長
西川 猛
所在地
東京都千代田区平河町1-4-12
事業内容
独立系で最大級の携帯電話販売代理店。ソフトバンクショップ233店舗を東名阪中心に展開。子会社取得で携帯主要3社のショップ運営体制へ。
決算期
12月末日
業種
情報・通信
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2013年12月 84,227 3,239 3,425 1,878
2012年12月 74,468 3,122 3,200 1,783
2011年12月 70,572 2,849 2,781 1,489
2010年12月 60,168 2,905 2,893 1,659
2009年12月 46,890 3,576 3,550 2,046
2008年12月 33,457 1,460 1,423 1,143
2007年12月 31,453 1,684 1,685 840
2006年12月 24,356 1,076 1,087 557
2005年12月 24,355 948 946 483
株式情報(8/15現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
2,434円 6,413,872株 15,611百万円 14.3% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
30.00円 1.2% 176.18円 13.8倍 2,219.35円 1.1倍
※株価は8/15終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROEは前期末(非連結)実績。
 
ベルパークの2014年上期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
移動体通信事業者のキャリアショップ運営を主力事業とする独立系携帯電話販売代理店。東名阪を中心に264店舗の店舗網を有する。14年6月末現在の内訳はソフトバンクショップ233店(直営182店・FC51店)、ドコモショップ8店(直営8店)、auショップ7店(直営5店・FC2店)、ウィルコムプラザ13店(直営8店・FC5店)、Apple関連3店舗。

尚、14年2月10日に(株)OCモバイルの全株式を取得し、完全子会社化した。14年3月末をみなし取得日とし、14/12期第1四半期から連結決算に移行する(第1四半期は貸借対照表のみを連結財務諸表に反映)。
(株)OCモバイルは、キャリアショップ(ソフトバンク、NTTドコモ、au)を直営で19店舗、FCで3店舗の合計22店舗を運営している携帯販売代理店。東日本支店、大阪営業所、中国支店、九州支店と東日本以西に営業ネットワークを展開しているため、(株)ベルパークは(株)OCモバイルを通して九州地区に販売エリアを拡大する事になる。(株)ベルパークがこれまでに培ってきたノウハウを活かす事ができるソフトバンクショップの収益改善のみを14/12期連結決算に織り込んだ。OCモバイルとのグループ一体経営を促進するべく、3月には本社事務所を(株)ベルパークと同じビルに移転している。尚、ドコモショップは、(株)富士通パーソナルズ、MXモバイリング(株)傘下の二次代理店として展開している。
 
【事業特性】
同社の収益は、携帯電話やスマートフォン等のモバイル端末や関連するアクセサリーの販売による商品売上高と手数料収入からなり、手数料収入は更に、販売時の販売(契約)手数料、各種サービスの申し込みにかかるサービス取次手数料、毎月のARPU(後述)に応じて支払われる継続手数料、及び支援手数料に分かれる。支援手数料はソフトバンクモバイル(株)のショップ評価インセンティブ等であり、量(新規販売台数)と質(ARPU向上等)に加えて、MNP(後述)獲得比率、CS(後述)の向上、携帯電話回線の負荷を軽減するオフロード網構築への貢献等、多項目化された課題の達成度に応じて金額が決まる(販売会社は各店舗の総合力を強化するように求められている)。
尚、ARPUとはAverage Revenue Per Userの略で通信事業者の1契約当たりの売上。MNPはMobile Number Portabilityの略で通信事業者を乗り換えても電話番号が維持されるサービス。また、CSはCustomer Satisfactionの略で顧客満足(度)。

一方、モバイル端末の販売については、キャリアから提示された販売価格で販売するが、通常、仕入価格を下回る価格で販売され、販売手数料を受け取る事で利益が出る仕組みになっている(新規の販売と機種変更では、新規販売の方が利益貢献が大きいと言う)。もっとも、店舗運営の基本は、継続手数料で固定費の一定部分を賄い、販売手数料や支援手数料で利益の上積みを図る事。継続手数料が少ない(もしくは計上がない)開店当初は赤字が続くが、損益分岐点まで販売を積み上げる事で店舗運営が軌道に乗る。尚、昨今のモバイル端末の販売は割賦販売が一般的だが、この場合、販売店は割賦債権をキャリアに譲渡する事で資金を回収している。
 
 
2014年12月期上期決算
 
 
乗り換え(MNP)競争の鎮静化による第2四半期の落ち込みで売上・利益共に期初予想を下回る着地
2014年2月に(株)OCモバイルを子会社した事に伴い、連結決算を導入した。ただ、売上高、利益、資産のいずれにおいても、(株)ベルパークが大半を占めている(売上高の97%、営業利益の100%、総資産の98%、純資産の100%)。

売上高は415億25百万円。(株)ベルパークの売上がわずかに減少したものの、(株)OCモバイルの寄与でほぼ前年同期の非連結売上高と同水準を維持した。ただ、第2四半期の販売台数の減少とMNP手数料率の引き下げで期初予想を8.3%下回る着地。(株)ベルパーク個別では、機種変更が減少したものの、第1四半期に伸びた乗り換え(MNP)を中心に新規販売台数が増加した。

営業利益は期初予想を3.4%下回る15億64百万円。継続手数料が増加したものの、第2四半期に入りMNP手数料にブレーキがかかり売上総利益が下振れしたため、店舗数の増加等による固定費の増加が負担となった。加えて、営業外費用として為替差損39百万円を計上した(前年同期の非連結決算では為替差益1億16百万円を計上)。
 
 
第1四半期はキャリアのMNP競争の激化で手数料が高騰し、音声端末の販売が27万台と伸長。MNP手数料を原資とした販促費の増加や店舗数の増加による人件費・家賃等の負担増を、MNP手数料の増加と継続手数料の積み上がりで吸収して営業利益が四半期ベースでの過去最高益を更新した。一方、第2四半期はMNP競争の鎮静化でMNP手数料率が低下すると共に音声端末の販売が16万台に減少。販促費も減少したが、固定費が負担となり、営業利益が81百万円に落ち込んだ。
 
 
上期末の総資産は214億90百万円。現預金が総資産の39%を、流動資産が総資産の83%を占める等、流動性に富み、無借金経営。財務内容は健全で機動力に優れる。自己資本比率は66.2%。
前期末の非連結の財政状態と比較すると、現預金が増加する一方、第2四半期の売上の減少で売上債権・仕入債務が減少。店舗の増加や(株)OCモバイルの子会社化等で固定資産が増加した。
 
 
第営業利益が減少したものの、営業CFは前年同期の非連結と同水準。(株)OCモバイルの子会社化等によるキャッシュアウトを吸収して16億60百万円のフリーCFを確保した。財務CFがマイナスになったのは、自己株式の取得と配当金の支払いによる。
 
 
*ROE(自己資本利益率)は「売上高当期純利益率(当期純利益÷売上高)」、「総資産回転率(売上高÷総資産)」、「レバレッジ(総資産÷自己資本、自己資本比率の逆数)」の3要素を掛け合わせたものとなる。ROE = 売上高当期純利益率 × 総資産回転率 × レバレッジ
*上記は決算短信及び有価証券報告書のデータを基に算出しているが、算出に際して必要となる総資産及び自己資本は期中平残(前期末残高と当期末残高の平均)を用いている(決算短信及び有価証券報告書に記載されている自己資本比率は期末残高で算出されているため、その逆数と上記のレバレッジは必ずしも一致しない)。
 
東証発表の「決算短信集計」によると、東証1部、東証2部、及びマザーズ上場企業の14/3期のROEは、金融を除く全産業8.65%(前期は4.99%)、製造業8.55%(同4.53%)、非製造業8.79%(同5.67%)。同社は高い利益率と資産回転率により東証上場企業の平均を大きく上回るROEを実現している。また、同業の大手2社との比較においても、利益率、資産効率、及び堅実な財務内容で存在感を示している。レバレッジを抑えた健全な財務体質が上位2社のROEを下回る要因になっているが、これは同社の潜在成長力と考える事ができる。同社は株主への利益還元を安定的に継続しつつ、内部留保を着実に積み上げる事で、大きな成長機会の到来に備えている。
 
(3)経営方針と上期レビュー
経営方針 「人材の成長を第一に考える」
14/12期は「人材の成長を第一に考える」と言う経営方針の下、具体的な取り組みとして、人材投資、CS、及びグループ経営を挙げている。
 
 
上期レビュー
①グループ経営
2014年2月に(株)OCモバイル(以下、OCM)の株式を取得し、3月にはグループ間での情報連携を強化するべく、OCM本社を(株)ベルパーク本社に移転した。また、OCMへ20名の人員出向を行い、ショップスタッフの人員交流を通してショップ運営ノウハウの注入を図ると共にグループ共働体制の醸成を図った。
第2四半期に入った4月には、OCMのソフトバンクショップ事業を(株)ベルパークに譲渡し、ソフトバンクショップをワンオペレーション化すると共に、OCMの組織変更を行い、OCMのオペレーションを拠点別からキャリア別に変更した。また、管理指標の見直しと評価制度の一部見直しを行い、営業管理体制の再整備も実施した。
OCMの上期業績については、60百万円の営業損失を見込んでいたが、店舗の実績が向上した事で2百万円の営業損失にとどまった。
 
②人材への更なる投資
OCMへの人員出向やM&A(2店舗)等、当初想定していなかった要因によって、ソフトバンクショップの戦力数が一時的に減少したが、4月に新卒142名が(株)ベルパークに入社し、1カ月間の新人研修を経て5月から各店舗で勤務を開始した事で6月末時点の戦力数は充足している(13/12期の採用において、中途採用による人員確保が難しくなっている事を踏まえて、14/12期の人員確保に向け新卒採用に力を入れた事が奏功した)。
 
 
③CSにもう一歩踏み込む(感動接客が紹介を生む)
CS向上に向けた取り組みとして、2013年4月に 専門会社にミステリーショッパーを委託して消費者目線からの課題に取り組んだ結果、その後のアンケート得点が高水準で安定化した。2014年4月〜6月には別視点からの分析を行うために前回とは別の会社にミステリーショッパーを委託した。7月以降、調査結果をもとに店舗別の課題を抽出し、CS強化研修を実施している。
 
 
事業展望(西川社長)
 
(1)現状認識
13年9月に新型iPhoneを主要3キャリアが発売し、同質化時代に突入した。これ以降、キャッシュバック金額の多寡を力とした過当な販売競争が繰り広げられ、14年3月にピークを迎えた。このため、4月以降はキャッシュバックが鎮静化し、同質化の中で販売が凪(なぎ)の状態になった。

過去2〜3年、携帯キャリアは最高益レベルの収益を継続している。一方、販売代理店は選別淘汰の名の下で手数料の差別化が進んだものの、勝ち組が現状維持もしくは微増益、中間組は減益、負け組は大減益もしくは赤字、或いは退場、と言った状態で、勝ち組ですら楽観できない。本来は勝ち組が退場組を代替し、新陳代謝が促進される事で業界が活性化していくはずだが、この状況では、そのために必要な投資に見合ったリターンと再投資の好循環が生まれない。「ショップ網の新陳代謝と活性化ができる条件作りが必要」と言うのが西川社長の考え。
 
今一度、ミッションを見つめ、新しい時代の「キャリアショップの役割」をキャリアと代理店で再定義する時期に
ここで改めて通信キャリアのミッションを確認してみると、
 
NTTドコモ 私たちは『新しいコミュニケーション文化の世界の創造』に向けて、個人の能力を最大限に生かし、お客様に心から満足していただける、よりパーソナルなコミュニケーションの確立をめざします。

KDDI 「KDDIグループは、全従業員の物心両面の幸福を追求すると同時に、お客さまの期待を超える感動をお届けすることにより、豊かなコミュニケーション社会の発展に貢献します。

ソフトバンク 情報革命で人々を幸せに
 
3社のミッションのポイントは、利用者の「満足」、「感動」、「幸せ」である。携帯電話は日に日に便利になり、人々の生活を変えてきたが、今後も端末は進化し続け、必ず生活を変えていくだろう。端末が進化する中で、いかにして利用者の「満足」、「感動」、「幸せ」を実現していくか。通信キャリア各社の手腕が問われる。

一方、キャリアショップの機能を再定義してみると、お客様の生活を幸せにする拠点、モバイルのかけこみ寺(公的なインフラ)、未来生活のデモンストレーションの3つにまとめる事ができる。「今一度、ミッションを見つめ、新しい時代の “ キャリアショップの役割 ”をキャリアと代理店で再定義する時期に来ている」と言うのが西川社長の考えだ。
 
 
リスクファクター
リスクファクターとして、①MVNO(Mobile Virtual Network Operator:仮想移動体サービス事業者)、②SIMロック解除、③クーリングオフ、及び④サービス業の人材不足、の4点を挙げている。
 
 
M&A環境
代理店を取り巻く環境が厳しさを増すと予想している。その理由は、通信キャリアによる代理店選別の継続、クーリングオフ導入やSIMロック解除、サービス業の人材不足の3つ。成績不振の代理店に対する厳しい手数料条件の提示や、不振エリアの新規出店権利が他代理店に与えられる等、通信キャリアによる代理店選別の目が厳しさを増している。また、クーリングオフ導入やSIMロック解除が実施されれば、携帯電話業界に重くのしかかる。サービス業の人材不足も深刻で、人材の確保に苦戦する代理店は店舗の存続そのものが難しくなる。

このため、潜在的な売り手は多いものの、視界不良のため、勝ち組でさえも慎重姿勢を崩していない。
 
(2)今後の見通し
今後、「手数料体系の見直し」と「消費者保護ルールの見直し」が避けられない。「手数料体系の見直し」については、これまでは、MNP競争、純増競争に対応した手数料体系だったが、現在の環境にマッチした最適な手数料体系をキャリアと代理店で真剣に考える必要がある。
また、「消費者保護ルールの見直し」については、販売現場において業界としても反省すべき点があった事を認識して、クレーム数の低減に向け、キャリアと代理店がクレームの徹底分析を行なった上で、全力で取り組む必要がある。

いずれにしても、現状は同質化の中で販売が凪の状態にあり、業界の活性化、健全化に向け、業界として変革は避けられない。「いち早く適応する事ができたキャリア・代理店が顧客の賞賛を得て、次の時代の勝者となるだろう」と言うのが西川社長の考えだ。
 
 
2014年12月期業績予想
 
 
通期の連結業績は売上高864億円(期初予想962億円)、経常利益21億80百万円(同33億80百万円)
MNPの台数と手数料が減少した第2四半期以降の実績を基に、販売台数、手数料、及び販管費の前提を見直し、通期の連結及び個別の業績予想を修正した。連結・個別共に販促費が大幅に減少するものの、MNPの台数とMNPキャッシュバックの鎮静化による手数料の減少が響く。

販売台数については、期初にはLowARPU端末の販売を抑制し、MNPを中心に音声端末の販売に注力する計画だったが、MNPが厳しい状況となったため、音声端末は機種変更を中心に販売台数の減少を最小限にとどめる計画。(株)ベルパーク個別の総販売台数の計画も93万台から89万台へ4万台引き下げた。手数料については第2四半期以降のMNP手数料の料率変更を、販管費については販促費の大幅な削減を、それぞれ織り込んだ。
 
 
(2)年30円の配当を予定
配当は創立20周年記念配当10円を落とした30円を予定(上期末配当15円、期末配当15円。予想配当性向17.0%)。この他、上期末、期末の年2回1単元(100株)以上保有の株主にクオカード1,000円分を贈呈している。同社は、業績、販売網の拡大、経営管理体制の強化、及び将来の積極的な事業展開に備えるための内部留保等を総合的に勘案して利益還元を安定的に実施していく考え。
 
 
今後の注目点
昨秋にNTTドコモがiPhoneの取り扱いを開始した事で、通信キャリア3社は、端末、ネットワーク、サービスの基本的要素の全てで差別化が難しくなった。このため、今春はMNP競争が激化したが、社会的な批判も多く、4月に入り鎮静化した。この間の代理店各社は通信キャリアの方針に翻弄された感があるが、同社は、「販売の最前線に立ち、ユーザーと接するキャリアショップこそが通信キャリアのブランドイメージを左右する」と言う西川社長の考えの下、通信キャリアの方針に対応しつつも、CSやパフォーマンスの向上に向けた先行投資(人材投資と販売現場のスタッフが意欲的に働ける環境づくり)を継続した。
現状は同質化の中で販売が凪の状態にあるが、業界の活性化、健全化に向け、業界として変革は避けられない。CSやパフォーマンスの向上には先行投資が必要であり、販売が凪の状態にある中では先行投資が相対的に重みも増すが、同社は業界の変革にいち早く対応して次の時代の勝者となるべく、先行投資を続けていく考え。
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
このレポートは当社が信頼できると判断した情報源(当該発行会社が作成した会社説明資料等)の情報に基づき作成したものですが、その正確性について当社が保証するものではなく、また当資料の一部また全部を利用することにより生じたいかなる損失・損害についても当社は責任を負いません。
本レポートに関する一切の権利は(株)インベストメントブリッジにあります。また本資料の内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。
投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申しあげます。
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